富士フイルム、X-M1の後継機「X-M5」および「XF500mmF5.6 R LM OIS WR」「XF16-55mmF2.8 R LM WR II」を発表
富士フイルム、X-M1の後継機「X-M5」および「XF500mmF5.6 R LM OIS WR」「XF16-55mmF2.8 R LM WR II」を発表
富士フイルムは、今年3度目となるXシリーズの大型イベント「X Summit CLAY Studio 2024」を10月14日(月)午後10時に開催しました。
今回発表された新製品は、X-M1の後継機「X-M5」および「XF500mmF5.6 R LM OIS WR」「XF16-55mmF2.8 R LM WR II」です。この記事ではその概要をお届けします。
◆ X Summitとは
X Summitとは、伝統的に富士フイルムの新製品発表の場です。近年はFUJIFILM X SeriesのYouTube公式チャンネルでのライブストリーミングビデオ形式で実施されています。今年は既に2月に東京、5月にオーストラリア・シドニーで開催されており、今回が3度目。富士フイルムデザインセンターCLAY Studio Tokyoにて開催されるX Summit CLAY Studio 2024では、“デザイン”をテーマに、プロダクト開発から工場の生産現場まで情報が発信されました。
X-M5
X-M5は、Xシリーズで最軽量となる約355gの小型軽量ボディを実現したミラーレスデジタルカメラです。外形寸法は11.9×66.6×38.0mmで日常的に使いたくなる携帯性を実現しています。
軍艦部天面にはシンメトリーに配置したダイヤルが存在し、EVFを省略したフラットトップスタイルとなっています。
天面左肩には事前の予想通り「フィルムシミュレーションダイヤル」が採用されました。前モデルX-M1では、左側に「ポップアップ式のフラッシュ」がありましたがこちらが置き換わった形です。天面右肩に関しては、「撮影モードダイヤル」と露出補正含む様々な設定を制御するための「コントロールダイヤル」が続投となっています。
そのほかFnボタンが消失したり、Qボタンが天面右肩に来たりと、ボタン配置に関して、X-M1からデザイン面で大きな変更が確認できますね。
センサーには裏面照射型約2610万画素「X-Trans™ CMOS 4」、エンジンには最新の高速画像処理エンジン「X-Processor 5」が搭載されました。これは2023年6月発売の「FUJIFILM X-S20」と同じ組み合わせです。消費電力を抑えながらの高画質撮影が可能で、画質はX-S20と同等のようです。
顔・瞳AFも搭載されています。被写体検出AFでは、動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車・昆虫・ドローンをAIで検出可能。また最新のAF予測アルゴリズムにより、動く被写体への高い追従性や、コントラストの低い環境下での高精度AFを実現しています。
動画撮影に関しては6.2K/30P 4:2:2 10bitでのカメラ内SDカード記録が可能。また4K/60Pや1080/240Pにも対応しています。しかし、4K/60P撮影の場合は約1.18倍、手振れ補正を入れると約1.32倍のクロップがされるようなので、これらを併用した場合は合計で約1.44倍のクロップとなる点には注意が必要です。自撮りをする場合はそれなりの広角レンズが必要になりそうですね。
富士フイルムのLog形式F-Log2にも対応しています。F-Log2はF-Logよりもダイナミックレンジが広いガンマカーブを描くLog形式です。しかし、F-LogはISO感度がISO 640以上、ISO 12800以下であるのに対して、F-Log2はISO感度がISO 1250以上、ISO 12800以下であるため、夜間のみでなく日中の撮影でも高ISOによるノイズが目立つ点には注意が必要です。また同じ理由でNDフィルターが必要になるケースも多いと思います。
マイクは3つの内蔵マイクに加えて、背面上部にφ3.5mm端子が搭載されました。また定常ノイズ低減機能が搭載されているので、空調音など一定の周波数で鳴り続けるノイズを低減できます。
X-20で初めて搭載された、LCDのタッチ操作で直感的に撮影条件を変更できる「Vlogモード」も追加されました。UIデザインに改良が図られたほか、SNSに作品をアップロードしやすくなる「9:16ショート動画モード」が新たに搭載されています。
やはりソニーのZV-E10IIのような、Vlogカムとしても機能するカメラのようですね。なおアスペクト比3:2の6.2K/30P オープンゲート撮影に対応していることを活かし、普段は縦の情報量が多い3:2比率で撮影をしておき、YouTubeショートやインスタのリール用などに後から切り取るというような使い方も可能です。この価格帯のカメラでこういった機能を持つのは珍しいですね。
動画撮影時の「メディア記録設定」で選択可能なビットレートには、新たに8Mbpsと25Mbpsを追加されました。さすがに8Mbpsでは圧縮効果が目立つと思いますが、スマートフォンなどの外部機器への転送時間を短くし、SNSなどにアップする作業時間の短縮は期待できますね。
アクセサリーには既に発売されている、ボディ背面にケーブルレスで装着して電源をボディ本体から供給できる冷却ファン「FAN-001」や、撮影時の機動性とホールド性を高め、自分撮りやローアングル撮影などで快適な撮影をサポートするだけでなく、三脚としても活用できるグリップ「TG-BT1」が使用可能となっています。端子類が右側に集中しているので、画部モニターやバッテリーを接続しながら使う場合はTG-BT1などが必要になりそうですね。
発売は11月を予定。店頭予想価格はボディ単体が13万6,400円(税込)、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZが付属するレンズキットが15万2,900円(税込)。カラーはシルバーとブラックの2色となっています。
なおボディはもちろんですが、アクセサリーなども在庫切れになる可能性がありそうなので、確実に手に入れたい場合は早めの購入をおすすめします。
XF500mmF5.6 R LM OIS WR
XF500mmF5.6 R LM OIS WRは、超望遠500mm(35mm判換算:762mm相当)の領域をF5.6で撮影可能で、XFレンズ最高峰の光学性能を備えた超望遠単焦点レンズです。ズームレンズ「XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR」を除けば、富士フイルムが展開するレンズの中で最も焦点距離の長いモデルとなっています。質量は約1,355g。
テレコンバータ―と組み合わせることで焦点距離の拡大が可能です。「フジノン テレコンバーター XF1.4X TC WR」では最長700mm(35mm判換算:1067mm相当)相当、「フジノン テレコンバーター XF2.0X TC WR」では最長1000mm(35mm判換算:1524mm相当)相当の焦点距離で撮影できます。
スーパーEDレンズ2枚、EDレンズ5枚を含む14群21枚のレンズ構成、5.5段の強力な手ブレ補正機構、快適な操作性と高速かつ静音で高精度なAF、また鏡筒の20か所にシーリングを施した防塵・防滴・-10℃の耐低温構造に加え、レンズの前玉のフッ素コーティングにより撥水・防汚性能を備えます。
発売は12月を予定。推定価格は47万1,900円(税込)となっています。
XF16-55mmF2.8 R LM WR II
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは、2015年2月発売に発売した大口径標準ズームレンズ「フジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WR」の後継機で、XFレンズのフラッグシップモデルです。重量は前モデルの655gに対して410gと、約4割の大幅な軽量化が実現しています。
APS-Cサイズのイメージサークルに対応する標準ズームレンズで、広角16mm(35mm判換算:24mm相当)から中望遠55mm(35mm判換算:84mm相当)まで、ズーム全域を開放絞り値F2.8の明るさで撮影することが可能。非球面レンズ4枚、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ3枚を含む11群16枚のレンズ構成により、心部から周辺部まで高解像の維持、色収差の抑制、輪帯模様の発生を抑制して滑らかで美しいボケ味を実現したとのこと。
ズーム全域で最短撮影距離は0.3m、最大撮影倍率は0.21倍。
「絞りクリックスイッチ」は、ONにすることで静止画撮影時に絞り量を直感的に把握しやすくなるよう設計。OFFにすれば、快適に動画撮影ができるよう絞り操作時の明るさの変化を滑らかに変化します。またブリージング抑制や、高速かつ静音で高精度なAFも実現しているとのこと。動画撮影性能が向上したことや、重量が410gになったことで、今回登場したX-M5でも使えそうですね。
鏡筒各部は12か所のシーリングを施した防塵・防滴・-10℃の耐低温構造を採用。さらに最前面のレンズに施したフッ素コーティングにより、優れた撥水・防汚性能を備えています。
発売は12月を予定。推定価格は18万9,200円(税込)となっています。